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「明日から会社に行かない」なんて本当に可能?懲戒解雇の実態を徹底調査

EXIT株式会社では、退職代行サービスを利用する前でも不安なことや疑問があれば、いつでも何度でも相談に乗っています。

その中でも
「どうしても出勤できないけど、懲戒解雇にならないか心配」
という不安の声は、耳にする機会がとても多いです。

「損害賠償を請求されるんじゃないか」といった相談も多いですが、それについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、気になる方はチェックしてみてください。

結論から申し上げれば、もともと会社との間に個人的なトラブルを抱えているといった特別な事情がない限り、懲戒解雇という処分の可能性は極めて低いです

※ここで言う個人的なトラブルとは、例えば「会社の金品の窃盗、着服」「採用時の経歴詐称」といったレベルの“トラブル”です。ただ、そういった背景があっても懲戒解雇はあまりにもひどいと判断されるケースもあるので、不安な方は1人で悩まず労働局などに相談しましょうね。

それなのになぜ、こんなにも不安を抱える人が多いのか?
答えは、懲戒解雇の「得体の知れなさ」にあると筆者は考えています。
「なんか懲戒解雇ってやつはヤバイらしい。知らんけど」といった、隣町のヤンキーのボスみたいなもの。風の噂を恐れているだけで、実態を知らないまま言葉が一人歩きしているのです。

正体が分からないものは怖い。生物として当たり前の反応です。
そんなオバケみたいな懲戒解雇ですが、理解してしまえば大丈夫。そんなに怖がる必要はありません。

日本の法律や司法は圧倒的に、労働者に優しく経営者に厳しいです。これは覚えておいて損はありませんよ。

①そもそも「懲戒解雇」とは

懲戒解雇は、企業秩序違反をした従業員に対しておこなう「懲戒処分」の中でもっとも重い制裁、ペナルティです。懲戒処分にもいろいろあるのですが、ここでは割愛して、解雇の部分に注目していきます。
解雇には状況や目的に応じて種類があり、それぞれの名称と特徴は図のようになります。

※まずは懲戒解雇と普通解雇の2つの分類ですが、整理解雇は経営上の理由、つまり労働者になんら非がないにもかかわらず行われます。そのため必要性や有効性を厳正に判断する必要があり、普通解雇の中でも分けて考えるのが一般的なため、3つを並列して示しています。
※言葉としては「諭旨(ゆし)解雇」というものも存在しますが、形式上は労働者からの退職の申し出となるためここでは除外しています。

「解雇」は会社から一方的に雇用契約を解消することです。

…とは言っても労働者にとっては生活の糧を失うという大変な事態。
そのため労働基準法では簡単に解雇ができないよう、解雇は「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当だ」と認められた場合のみに限定されています。それ以外は解雇権の乱用だとして無効になってしまうのです。
そもそも解雇自体に、相当なハードルが設けられています

加えて懲戒解雇は制裁が目的の解雇なので、記録として残り退職後にも影響力を持ちます。そのため仮に労働者側に悪い部分があったとしても、懲戒解雇が有効だと判断されるためには通常の解雇以上に厳正な判断と適正な手順が求められます。
解雇自体の「相当なハードル」のそのまた上を行くのです

また、労働者が納得していない場合は何かしら不服として申し立てるケースが非常に多いです。その場合、会社としてはさらに労力や時間をかける羽目になります。

仮に不当解雇として認められた場合には、和解のための解決金や慰謝料を支払う可能性もあります。懲戒解雇は労働者側の不利益が目立ちますが、実は会社側もリスクを負うものでもあるのです。

相手も同じ人間です。面倒なことは避けたい、普通の人間です。
退職者たったひとりのために、証拠や記録を集め、保存して整理して、各所に提出する書類を準備する。それも通常業務の合間にです。自分が人事労務の担当者なら、絶対にやりたくないですね…。

というわけで、確かに急な退職は会社側からすればある程度は困ってしまう部分もあると思います。
ただ、ここまでで分かる通り懲戒解雇をする大変さに比べたら労働者側からの退職の申し出に乗っからない手はありません。自己都合退職であれば、退職届1枚で一般的には証拠も十分です。

労働者側と会社側から見た懲戒解雇は、イメージが異なっていると思います。「とにかくヤバイ!」と思っていた方の不安は、だいぶ取り除かれたのではないでしょうか。

②簡単にはできないって本当?

懲戒解雇に焦点を絞って具体的な話をしていきます。
前述の通り、理由はもちろん、懲戒解雇に至るまでの流れも含めて適正でなければ無効になります。そこでもっとも重要になるのが就業規則です。

就業規則にどのような場合に懲戒解雇となるかの明記がなければ、たとえ労働者がどんな悪事をはたらいたとしても処分を行うことはできません。
懲戒事由(=こんなことをしたら)や懲戒の内容(=こんなペナルティを課します)を具体的に明記されている必要があるのです。

これはとても重要です。もう一度言います。
就業規則に懲戒事由や懲戒内容の明記がなければ、懲戒解雇は不可能なのです。罪名がないと求刑ができないのと同じです。たいていは

労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。
①〇〇〇…
②〇〇〇…
③正当な理由なく無断欠勤が〇〇日以上に及び、出勤の督促に応じなかったとき。
④〇〇〇…

参考:就業規則の作成例 | 東京労働局

というような文言が定められています。
もちろん会社としても生存確認もままならないような人をいつまでも雇い続けるわけにはいかないでしょう。正当な考えです。

ただ、もう耳にタコかもしれないですが、懲戒解雇は通常、高すぎるハードルです。懲戒事由として定められた言動等に合致しなければ、処分を行うことができません。
しかし、無断欠勤が続けば解雇されるといったことは実際にあり得ます。どうしても欠勤せざるを得ない場合、事前に説明しておくほうが無難です。電話が一番納得されやすいですが、電話が無理ならメール、メールが無理なら書面で「休みます」ということはきちんと伝えましょう。メールや書面なら証拠も残ります。

就業規則が重要なのは分かったけど、自分の会社ではそんなの見たことがない?
そんな方もご安心を。
就業規則は作成が義務化されています。さらに社員に周知していなければ効力を発揮しません

実は従業員が10人未満の事業場には就業規則の作成義務はないのですが、就業規則がなければ懲戒処分ができないことは共通です。
是非この機会に、自分の勤務先の就業規則を確認してみてくださいね。

まとめ

懲戒解雇は労働者に与えられる制裁ですが、影響が大きい分、会社にとっても様々な制約の中でしかおこなえないものです。
また、「労働者」に対してのものなので、自分で起業をしたり個人事業主として働く分には誰に何を言われることもありません。

大前提として、退職は双方が事前に話し合えるのが一番です。
ただ、人手不足を理由に話が円滑に進まなかったり、話ができる人間関係が築かれていなかったり、そんな気力も持てなかったり…と、どうしてもスムーズに退職ができないケースは多いです。仕方がないことです。
出勤も、できないものは仕方がありません。ほとんどの会社様で、きちんと説明をすれば理解を示してくれることは日々実感しています。

自分で出来る範囲は対応をする。出来ない部分は誰かに頼む、というのもひとつの手です。現代に生きる特権はどんどん使っていきましょう。


参考文献:今井慎, 新井将司, 浅野育美. これ一冊でぜんぶわかる!労働基準法 2019~2020年版. ナツメ社, 2019年, 280p

ライター:ぽったー

EXIT社員。教職に就いたが忙しすぎて「この仕事を大好きと思えるうちに辞めよう」と退職を決意。4カ月交渉し続け、ようやく退職。度重なる面談ですり減ったHPを回復させていたところ、退職代行EXITとめぐりあう。

◎EXIT −退職代行サービス−とは?

EXIT株式会社が提供するサービスで、「辞めさせてもらえない」「会社と連絡を取りたくない」などの退職におけるさまざまな問題に合わせ、退職に関する連絡を代行してくれる。相談当日から即日対応が可能で、 会社との連絡は不要。離職票や源泉徴収票の発行確認など、退職後のフォローも行ってくれる。

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