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【退職者の証言】看護師Mさん|施設の現状をレポートにまとめてつきつけた

世の中には「退職したい」と思っても辞められない状況の方々が多くいます。今回インタビューに応じてくださったのは看護師の資格をお持ちのMさん。職場でいじめを受け、辞めたくても退職を切り出すのが困難な状況にいた彼女は、いかにして過酷な職場を退職したのか?
辞められない職場とは、そしてMさんの考える“辞める”とは。

――以前の職場に勤めるまでの経緯をお伺いします。
私は看護師の資格を持っているのですが、ひとつ前の職場を辞めた後に看護師専門の転職エージェント経由で「いいところがありますよ」と言われて、その特別養護老人ホームに就職したんです。

――転職エージェント経由で入社されたんですね。
はい。でも、入ってすぐにヘルパーさんたちに「ここは看護師がやっていくにはきつい現場だよ。今までに何人も辞めているの」と言われて、その言葉に恐怖を感じながら働き始めました。

――入ってすぐに様子がおかしいと気づいたのでしょうか。
ヘルパーさんたちの言葉の意味はすぐに分かりました。
ほかの看護師に無視されたり、患者さんの情報を教えてもらえなかったり。
看護師たちは最初からいたメンバーで固まって、身内だけで仕事をしているんです。
上司に訴えても「もういい大人なんだから自分で解決しなさいよ」と言うだけでしたね。
労働基準監督署に行って訴えても変わりませんでした。
前任のAさんが辞めてから3か月、延々といじめられ続ける状況でした。
お給料がいいので頑張ろうと思っても、この状態では働けない、と思いましたね。

――それで、退職を決意されたんですね。
まず電話で「辞めたい」と職場に伝えましたが、職場からは「転職エージェント経由であなたを雇っているので、あなたを雇うのにお金がかかっている。最低1年は職場にいてもらわないと困る」と言われました。
「施設にとって損害なので辞めないでほしい」と遠回しに言われたので転職エージェントに
「私は最低1年、施設にいなければならないんですか?」と聞いてみました。
エージェントには「こちらとしては、特に問題はありません」と言われたので、退職を本格的に決意しました。

私は施設長と上司に状況を伝えるため、自分のされたこと・言われたことを思いつく限りすべてレポートにまとめました。
またそれだけではなく、施設の現状についても書き連ねました。
退職代行を使うか本当にギリギリのところまで悩みましたが…。

――ご自身で退職することを伝えたんですね。
私は「直接対決したい」と考え、施設長と上司へ退職の話がしたいと切り出し、話し合う場を設けてもらいました。
私が話を切り出すと、施設長は「では、あなたはもうこの老人ホームに貢献する気はないんですね」と言い放ちました。
私も頭にきて「当たり前でしょう!!」と叫んで、私の書いたレポートを差し出しました。施設長たちは状況を把握してなかったようで、すべて読み進めるうちに言葉を失っているようでした。

――それは本当に壮絶な体験をされましたね…。
ええ、なので本当に退職代行を利用するか迷ったんです。利用しようと思ったんですけど…。でも、やっぱり自分で現場のひどさを直接訴えたいと思ったんです。
けれど、本当は行きたくありませんでしたね。顔も見たくなかったです。

――直談判するのは、非常に勇気がいる行動だと思います。
私にはそれだけのエネルギーがまだ残っていたからできましたね。
でもいじめられた人たちの多くは知らないうちにふさぎ込んでいってしまい、立ち向かう気力を失ってしまうものだと思います。
夜眠れないとか、ご飯がのどを通らないとか…。常勤で入るとなかなか辞めさせてもらえないでしょうし、自分の生活もかかっていますから、ここでいじめられていることを我慢して働き続けるのか、すっぱりと辞めて他を探すのか…。
私もずっとそういう気持ちで悩んでいました。

けれど、今思うとスッパリやめてよかったかなと思います。
施設長たちに今までたくさんの看護師が辞めていった理由を訴えられましたし。

――看護師がやっていくにはきつい現場だよ、と言うのがヘルパーさんたちの第一声でしたね。
入ってすぐに言われた言葉ですね。看護師で常勤というのは、介護の現場からしてみたら本当に欲しい人材だと思うんです。
その看護師もどんどん辞めていますし、人手も足りないから、オンコール(24時間対応体制)による夜中の呼び出しに対応できないんです。

私が就職してしばらく経った頃、そのオンコールも始まりました。
だけど今までの酷い仕打ちをふと思い出したんです。
普通に働いていても私がやってないミスも私のせいにされることがありましたから、もし何か夜間に大きな事故があった時に、私のせいにされるのではと思いました。
私が「やってない」と言っても証拠がなければ…。
周囲の看護師が結託して「Mさんがやったよ」なんて言われてしまえば、私はそこでおしまいです。
自分に火の粉が降りかかる前に辞めようと思いましたね。

――身の危険を感じましたか?
感じましたね。私がやってないのに突然怒鳴りつけられたり「あんたがやったんでしょ」「私はやってませんよ」の応酬で。ミスをした本人は「私がやりました」って名乗ることはしませんし。
ミスをした人物はわかっているんですけど、みんな仲の良い者同士でミスをかばい合ってしまうので。
そういうこと、どこの世界でも多いと思いますね。

――仲の良い者同士で結託し、それ以外の人を貶めようとする職場は、どこにでもありがちですよね。
そうですね。こういった状況は、常態化してしまうと自分も周囲も気づきにくい。
だから自殺する方も出てしまう。
どこの職場でもそういうことはあると思います。
相談したり、改善できる環境が必要かな…と思いますね。

――お仕事を辞めた後は、どうされていますか?
今は転職先を探しています。
私は看護師の資格を持っているのでおそらくすぐ見つかるのではないかな、と楽観視しています(笑)。

――退職代行サービスを検討されたとおっしゃっていましたが、退職代行サービスについてどうお考えですか?
退職代行サービスは、私と違って戦う元気がない人にとっては助けになると思います。
最終兵器と言うか、最後の手助けのような感じですよね。
私は施設長たちと直接対決をしたいと思って直談判しましたが、それでも顔を合わせるのはつらいとも思いましたし。

――最後に“辞める”ということへの考えをお聞かせ下さい。
辞めることを悪いことだとは思わないですね。
前の職場で学んだことは、次に生かせばよいと思う。
次はこうすればうまくいくとか、勉強したと思うようにすればよいかな、と。
そこでの学びは終わったから、次に行きなさいってことなんだと思って切り替えてしまう。

自分の人生って短いので、そこで人生のひと時を無駄にするよりはさっと切り替えて自分に合った職場を探したほうが良いと思います。
必ずあると思うんですよね、自分に合った職場って。
やっぱり自分を理解してくれて、よくしてくれる会社を早く探して立て直した方がメリットはあると思いますね。
辞められないと言ってずるずると引きずってしまうよりは、サッとやめた方がいいと思っています。

まとめ

Mさんの過酷な職場での体験をお伺い致しました。
様々な職場で起こってしまう、異常な環境の常態化。
自分も周囲も気づけないまま、深刻な事態になってしまうことを、昨今のニュースでもよく目にします。
今回は介護の現場についてお伺いしましたが、まだまだ世の中にはこういった職場が潜んでいると思いました。
Mさんのように「辞める」ことに前向きな人々が増えれば、今以上に様々な働き方をする人が出てくるのではないか、そんな風に感じました。

ライター:つばき

23歳。前職はメディア系。試用期間のうちに合わないと感じ、新卒で入った会社を即退職。辞めたいと思っていた日々に見つけたEXITに魅力を感じ入社する。“やめる”をポジティブにするべく、ライターとして日々奮闘中。

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