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「解雇だ!」「損害賠償だ!」それってアリなの?会社が絶対にやってはいけない引き止め

会社を辞めようと決意したとき、上司に相談すると引き止めに遭う事があります。

その引き止めが「せっかく入社したのだからもう少し頑張ってみれば?」といった内容であれば問題ないですが、なかにはひどい方法でなんとか辞めさせないようにする上司がいるかもしれません。
もし、この記事に出てくるような方法で引き止められた場合には労働基準法違反の可能性があります。退職は基本的な労働者の権利ですから、不当な引き止めには毅然と対処しましょう。

この記事では労働基準法の第5条、強制労働の禁止について解説していきます。

1.会社は労働を強制してはならない


労働者を守るために労働条件の最低基準を定めた法律が労働基準法(以下労基法と記載)です。
その中でも、基本かつ最重要とも言える条文が労基法第5条、強制労働の禁止です。

労基法第5条
使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

第5条に違反した場合、1年以上10年以下の懲役、または20万円以上300万円以下の罰金となります。これは労基法の中で最も重い罰則です。
「労働者の意思に反して労働を強制する」とは必ずしも現実に労働する事を必要としません。
その為、上司から脅迫されたり、脅迫文の送付があったが、現実にはその後労働に応じなかったという場合でも違反となります。

近年注目されているのは、精神的な拘束に対する事案です。
「今辞めれば解雇する」などと脅し精神的に労働を強制させる事も許されない事です。

近年ようやく認知されてきたとはいえ、精神的な拘束は証明が難しいことも多く、
ボイスレコーダー等に言動を残しておく
・第三者からの証言を集める
・精神疾患の診断書を書いてもらう
など、明らかな証拠を用意することが大切です。

労基法第5条に関する過去の事件としては、岩国総合設備事件が有名です。
この事件では会社側の明らかな強制労働があり、有罪判決を言い渡されています。
https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/10018.html
今の自身の環境が強制的な労働にあたると感じたら、今すぐは必要ないものであっても、その証拠は手元に残しておきましょう。

2.精神、身体の自由を不当に拘束する手段ってどんなもの?

労基法では暴行、脅迫、監禁の他に以下についても精神又は身体の自由を不当に拘束する手段であるとしています。

①長期労働契約(労基法14条)
②賠償額予定契約(労基法16条)
③前借金相殺契約(労基法17条)
④強制貯蓄(労基法18条)

以上4つの条文に関して、詳しく解説していきます。

①長期労働契約の禁止(労基法14条)


労基法14条
労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、三年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、五年)を超える期間について締結してはならない。

この条文は有期労働契約の期間については3年を超えて締結してはならないという条文です。
有期労働契約である場合、雇用契約書に期間の定めありとして契約期間が記載されます。
労働期間を定める場合は、労基法14条にて最長3年が原則とされています。
3年が経過した後は、契約更新をすれば同じ会社で働き続けることができます。
なお、以下については期間の上限は5年とされています。
・高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者との間に締結する労働契約
・満60歳以上の労働者との間に締結する労働契約

また、人身拘束の弊害に配慮し、1年を超える有期労働契約については、民法628条の規定(やむを得ない事情がある場合のほかは退職できない)にかかわらず、
働き始めてから1年が経過していれば、いつでも退職することができることとされています(上記理由から期間の上限が5年とされている、または有期事業の完了に必要な期間を定めた労働契約の場合を除く)

契約満了となる期間を超えて、なお不当な引き止めに遭っている場合、労基法違反に該当します。
もし貴方が3年を超える労働契約を結ばされたり、この契約を理由に不当な引き止めに遭っている場合には労働基準監督署に相談しましょう。

長期労働契約の例としては以下のようなものがあります。
・有期契約の契約期間が4年になっている。
・高度の専門知識を必要とする業務であるが、有期契約の契約期間が6年になっている。

②賠償額予定契約の禁止(労基法16条)


労基法16条
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

この条文は損害賠償を予定する契約をしてはならないという条文です。
雇用者は、私たち労働者に対して違約金を支払わせることはできません。
これに違反した場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金となります。
「損害賠償されたくなければきちんと働け」というような脅しの契約は許されないという事ですね。

賠償額予定契約の例としては以下のようなものがあります。
・契約期間中に退職した場合、違約金として給料からいくらか差し引くという契約を結ばされた。
・決められた期間働かなかった場合は会社に50万円支払うという契約を結ばされた。

③前借金相殺契約の禁止(労基法17条)


労基法17条
使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。

この条文は労働者が使用者から借金をしている場合でも賃金から借金を差し引いてはいけないという条文です。
労基法17条は、就労前に借金させ、その借金分タダ働きをさせることを禁止しています。
ただし17条は、事前の借金そのものは禁止しておらず借金と賃金を相殺することを禁じています。

前借金相殺契約の例としては以下のようなものがあります。
・借金分を賃金から差し引いて渡された。
・わざと借金させられ、一定の期間働くことを強要された。

④強制貯蓄の禁止(労基法18条)


労基法18条
使用者は、労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならない。

この条文は使用者が労働者の賃金を預かってはいけないとする法律です。
労基法は雇用者が労働者の貯蓄(貯金)を管理すること、またその契約を禁止しています。

もし貴方が「お金を返してほしかったら働け」と引き止められている場合、18条に該当する可能性があります。
違反した場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金となります。
一方「社内預金」や「通帳保管」といった労働者の将来を保障する「任意貯金」は、全面禁止ではなく一部制限となっています。

強制貯蓄の例としては以下のようなものがあります。
・労働者に計画性がなく、賃金を全て使い果たしてしまうという理由で強制的に会社が一部の賃金を預かっている。
・退職する時に預かっている賃金は払わないと言われた。

3.まとめ

就労前の契約から、退職直前の引き止めまで、使用者はどのような場合でも私たち労働者に労働を強制させることはできません。

「この引き止めはおかしい」と感じたら、曖昧にせず労基法に違反していないか確認しましょう。
そして違反していると感じた場合、労働基準監督署などに相談し毅然と対処しましょう。

働く上での当然の権利として、また自分の身を守る最善の手段として、強制労働の禁止を覚えておきましょう。

ライター:キタガワ

EXIT株式会社で一番最初の社員。大学卒業後、一生労働をしないで生きると決めていたが退職代行の仕事は天職である。労働組合でのボランティア経験あり。

◎EXIT ?退職代行サービス?とは?

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